
青チャートを進めるうえで多くの高校生が悩むのが、「1日に何題解くのが理想か?」というペース配分です。焦って量だけこなしても、理解が追いつかず非効率になりがち。本記事では、自分に合った最適なペースを見つけるための考え方や、具体的なスケジュール設定のコツを徹底解説します。効率的に学力を伸ばし、着実に「解ける力」を身につけましょう。

目次
青チャートのペース配分徹底ガイド!1日何題が理想?
以下の順序で、勉強のペースを決める際のポイントをまとめました。
- どれだけ解いたかではなく、どれだけ解けるようにしたかが重要
- ペースはひとりひとり異なるもの
- ペース(1日あたりの問題数)の計算方法
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どれだけ解いたかではなく、どれだけ解けるようにしたかが重要
青チャート学習で最も大切なのは、「量より質」という考え方です。1日に何題こなしたかを競うように勉強しても、理解が浅いままでは力になりません。青チャートの本当の価値は、「解答を見たあと、自分の力で再現できるかどうか」にあります。
たとえば、10題を急いで解いて理解が曖昧な状態より、3題をじっくり考えて「解法を自分で説明できる」レベルにする方が圧倒的に効果的です。数学の実力は“習熟度の積み重ね”によって形成されるため、スピードよりも「定着」を優先する姿勢が重要です。
また、間違えた問題を「できるまで繰り返す」ことも欠かせません。青チャートの例題は「典型問題」の集まりです。つまり、ここを完璧にすれば入試で出題される多くのパターンに対応できるようになります。単なる演習ではなく、「自分の弱点を発見し、修正するツール」として活用する意識が必要です。
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ペースはひとりひとり異なるもの
青チャートをどのペースで進めるかは、現状の実力・目標・使える時間によって大きく異なります。たとえば、数学が得意な人なら1日10〜15題を進めても理解が追いつくかもしれませんが、苦手意識がある人の場合、1日3〜5題でも辛いということもあるでしょう。
重要なのは、他人のペースを真似しないことです。SNSなどで「1ヶ月で青チャートを1周した」といった投稿を見ても、焦る必要はありません。自分の生活リズム、他教科とのバランスなどとも併せて考えた“自分専用のペース”を設計することが何より大切です。
「理解 → 演習 → 定着」のサイクルを守るためにも、余裕をもったスケジュールを立てましょう。毎日少しずつでも、継続できるリズムこそが最強の勉強法です。
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ペース(1日あたりの問題数)の計算方法
自分に最適なペースを決めるための方法を以下にまとめました。
5つのステップを踏むことで具体的に計算ができます。
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1.現状を客観的に把握する
まずは自分の実力を正確に知ることから始めましょう。模試の結果などを見て、どの単元が得点できていて、どこができていないのかを分析します。
すでにある程度得点できているなら、青チャートの中でも、確認だけで済む問題がいくらか含まれているでしょうし、初見で解けなかったとしても、それを理解して解けるようになるまでに必要な時間が少なくて済むはずです。一方、苦手単元が多ければ、解けるようにする問題数は多くなり、理解に時間がかかることも予想できます。
また、1日に確保できる勉強時間も確認します。通学時間・部活動・他教科の勉強量などを踏まえて、「青チャートに使える時間」を現実的に見積もることが重要です。
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2.目標を決める
次に、「いつまでに」「どの範囲を」「どのレベルまで」仕上げたいのかを明確にし、
現状とのギャップを確認します。
入試の出題範囲に合わせて、解けるようにする科目、単元を決める
自分が受ける大学入試に必要な範囲を確認しましょう。
共通テストなら、
科目はⅠA・ⅡBCですが、
Aの「数学と人間の活動」は含まれませんし、
Bの数列、統計的な推測、Cのベクトル、平面上の曲線と複素数平面、以上4単元から3つを選択することになります。
理系なら、
私立入試、国立2次試験などで、
まず、Ⅲが出題範囲となっているかを確認しましょう。
また、Aの「数学と人間の活動」が出題範囲となっていることもありますし、
BCの出題範囲も必ずチェックしましょう。
また、ざっくりと教科全体の目標偏差値や得点も決めておきましょう。
偏差値が55までなら、コンパス1~3の例題、
偏差値が60までなら、コンパス1~3の例題+練習
偏差値が65までなら、コンパス1~4の例題+練習+EXERCISES、
偏差値が70までなら、コンパス1~5の例題+練習+EXERCISES+総合演習、
以上のような問題数、ページ数を解けるようになることをゴールとします。
ここまでで、総問題数、総ページ数が算出されました。
例えば、理系で全ての科目、単元、問題を解けるようにするなら、3151題、
偏差値55まで、かつ共通テストのみなら、コンパス1~3の例題だけとなり、約800題(BCの選択によって変動)です。
入試ごとに期限を設定する
入試の日を確認し、そこから青チャート完成の期限を決めます。
期限の目安は以下です。
共通テスト範囲:受験年度の7月末(8月は共通テスト対策、秋は私立や2次試験対策がメインとなるため)
国立2次試験範囲:受験年度の11月末(12月から共通テストの直前対策となるため)
私立入試範囲:受験年度の11月末(共通テストを受験しないならもう少し遅くても可)
期限を決めることで、使える日数が算出できます。
さらに、前項目の総問題数を日数で割ることで、1日あたりの問題数が算出できます。
例えば、現在が高2の1月で、目標が偏差値55、共通テストのみであれば、800/365 で、1日に2~3題となります。
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3.目標に到達するための小目標(マイルストーン)を設定する
大きな目標を達成するためには、細分化された小目標が欠かせません。いきなり大きな目標に向かうのではなく、小さな目標を次々と達成していき、その結果、大きな目標を達成することを目指します。こうすることで大きな目標達成がより容易になります。
目標点に合わせて、単元や章ごとに、解けるようにする難易度、ページ数、問題数を決める
先ほどは、大きな目標を決めましたが、ここでは単元や章ごとに細分化し、小目標を決めていきます。
すでに解けるようになっている問題が多い単元であれば、目標偏差値を上げ、解けるようにする問題数を増やすのも良いかもしれません。
逆に、苦手意識が強く、できるようになる見込みがあまりないなら、目標を下げ、例題に集中する方が得策ということもあります。
このようにして、単元ごとに、ゴールを設定していきます。
単元や章ごとに期限を設定する
上で決めた単元ごとのゴールに対して、それぞれ期限を決めていきます。
完成が近い単元は、期限を短くしても達成が可能かもしれません。
理解に時間がかかりそうな単元や、解けるようにする問題数が多い章は、必要な時間を多く見積もっておきましょう。
ここまでで、単元、章ごとに使える日数が決まり、問題数やページ数とから、ペースが算出できるようになりました。
例えば、数学Cのベクトルでは、平面と空間を併せて、コンパス1~3の例題が80題あり、これの完成に1ヶ月かかるとした場合、80/30 で、1日に約3題となります。
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4.スケジュールに落とし込む
計算した結果を、スケジュールに入れてみましょう。
そして、他の予定と併せて実行できる量になっているかを確認します。
1日あたりの量が多すぎる場合は、
勉強時間を増やす、
勉強方法を工夫する、
目標を下げる、
この順で変更できないかを考えます。
逆に、量が少ない場合は、
勉強時間を減らす(他の科目に充てるなど)、
期間を短縮する(早めに終わらせるなど)、
目標を上げる(他の苦手科目をカバーするなど)、
このようなことを検討してみましょう。
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5.実行しながら、適宜修正を加える
どんなに綿密な計画でも、実際にやってみるとズレは生じます。理解が深まらない単元や、思ったより時間がかかる分野が出てくるのは自然なことです。重要なのは、「修正する前提」でスケジュールを立てること。
1〜2週間ごとに「今のペースで目標に間に合うか」を確認し、必要に応じて1日の量を増減します。また、モチベーションが下がったときは「苦手単元ばかりで疲れた」といったサインなので、得意分野を挟んで気分転換を図るのも有効です。
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まとめ
青チャートの学習は「どれだけ多く解いたか」ではなく、「どれだけ確実に理解できたか」が鍵です。自分のレベルと目標に合わせて、現実的なペースを設定することが成功の第一歩です。
計画は立てるだけでなく、実行・修正・反省のサイクルを回すことで完成します。青チャートは“使い方次第で最強の教材”になり得ます。焦らず、自分のペースで「確実に解ける問題を増やしていく」ことを意識して取り組みましょう。
青チャートを効率的に使おう!
青チャートとは?基本の理解を深める
「青チャート」は、数研出版が出している有名な数学参考書シリーズ「チャート式」の中でも、標準〜やや難レベルを扱う参考書です。学校の授業理解から大学入試の基礎固めまで幅広く対応しており、特に共通テストの受験者や国公立大志望の生徒から厚い支持を集めています。
青チャートの最大の特徴は、「体系的に学べる構成」と「例題中心の学習法」です。単に問題を並べているだけでなく、数学の考え方や原理を順序立てて理解できるように作られています。
また、青チャートは「高校数学の辞書」とも呼ばれます。疑問に思ったときにすぐ調べられるためです。公式や定理を単に覚えるのではなく、「なぜそうなるのか」を解説とともに理解する――これが青チャートの本質です。
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青チャートの構成と使い方
青チャートは大きく分けて、基本事項→例題→練習→EXERCISESの流れで構成されています。
1. 基本事項:その節の要点をコンパクトにまとめた理論パート。ここを読んで「背景知識」を押さえることで、問題の理解がスムーズになります。
2. 例題:青チャートの中心部分。丁寧な解説と段階的な難易度で構成されており、これを「完全に理解・再現できる」ようになることが最重要です。
3. 練習:例題と似た内容の問題で、理解の定着を図るステップ。自力で解けるかを確認するチェックポイントになります。
4. EXERCISES:入試レベルの応用。ここまで到達すれば、共通テスト〜中堅私大レベルは十分対応可能です。
おすすめの使い方は、「例題の解答を隠して、自力で説明できるか確認する」学習法です。単に答えを写すのではなく、「どうしてこの公式を使うのか」「別解はあるのか」を自分の言葉で整理します。
また、1度解いて終わりではなく、「間違えた問題」や「時間がかかった問題」をノートにまとめておくと、復習効率がぐんと上がります。青チャートは分厚いですが、2周目・3周目になると驚くほど理解が深まり、「できる問題」が増えていく感覚を得られます。
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青チャートを活用する理由とメリット
青チャートを使う最大の理由は、「理解・定着・応用」の3ステップをすべてこの1冊で完結できる点にあります。
「基礎問題集→応用問題集」と分けて使う必要がなく、自然にステップアップできます。
さらに、次のようなメリットもあります。
- 体系的に学べる:公式や定理がバラバラではなく、前後のつながりの中で学べる。
- 「なぜそうなるか」を重視:暗記ではなく、原理理解に重点が置かれている。
- 幅広いレベルに対応:定期テスト〜大学受験まで、目的に合わせて使い分け可能。
- 学習データが蓄積しやすい:同じ形式で進むため、自分の弱点が明確に見える。
まず青チャートの例題をじっくり読み、理解できたら、その同じ例題や下の練習を解く。それを繰り返すうちに、「なぜその解法なのか」が自然と説明できるようになります。
つまり青チャートは、“自分で考え、解く力”を育てる教材。
ただの「問題集」ではなく、「数学力を鍛えるトレーニングブック」なのです。
青チャートを使った計画的学習
計画的に問題を解くために
青チャートを最大限に活かすためには、「計画性」が重要です。ただ漫然と問題を解くだけでは、理解が浅く、せっかくの努力が成果につながりにくくなります。まず大切なのは、「自分が今どのレベルにいるのか」「いつまでにどの範囲を仕上げたいのか」を明確にすることです。例えば、共通テストを見据えて基礎力を固めたい場合と、国公立二次試験に向けて応用力を磨きたい場合では、同じ「青チャート」を使っていても、学習の進め方や問題選定が異なります。
計画を立てる際は、まず大きな目標(例:夏までに数ⅡBを一通り終える)を設定し、そこから月・週単位の小目標に分けましょう。例えば、「今週は数列の基本例題を10題」「来週は漸化式の応用問題まで」といった具合です。これにより、日々の勉強が「目的を持った行動」に変わります。さらに、学習の進捗を記録して可視化することも効果的です。手帳やアプリを使って、どの単元をどこまで進めたかを一覧にすると、達成感を得やすく、モチベーション維持にもつながります。
もうひとつ大切なのが、「1日の勉強リズムの固定化」です。たとえば、「放課後に1時間は青チャートに取り組む」と決めることで、勉強が“日課”になります。継続は小さな積み重ねの結果です。青チャートは分厚く、全体を見渡すと圧倒されがちですが、1日1題、1週間10題でも確実に前に進めます。焦らず、淡々と積み上げることが、長期的には最も効率の良い学習法です。
勉強法の見直しと実行
青チャートを使う中で、「思ったように進まない」「覚えたつもりなのに解けない」という壁にぶつかることもあります。そんな時こそ、「勉強法の見直し」が必要です。問題をただ解くだけで終わっていないか、間違えた問題を放置していないかを振り返ってみましょう。大切なのは、「1回で完璧にする」ことではなく、「できなかった問題を次にできるようにする」ことです。
復習を効率化するには、青チャートの例題番号をノートに記録し、苦手な問題に印をつけておくのがおすすめです。定期的にその印を見直し、再挑戦することで、知識が定着していきます。また、「解法を覚える」だけでなく、「なぜその考え方になるのか」を自分の言葉で説明できるようにすると、思考力が鍛えられ、応用問題にも強くなります。
さらに、勉強法は「固定」ではなく「改善」するものです。例えば、最初は1日5題が限界だったとしても、慣れてきたら「3題を完璧に理解する」に切り替えるなど、自分の成長に合わせて柔軟に変えていくことが大切です。計画的に進め、定期的に見直しを加える――このサイクルを繰り返すことで、青チャートは単なる参考書ではなく、「自分専用の成長記録帳」として活きてきます。
青チャートの勉強計画に関してよく言われていること
1日の目安
青チャートの学習を続けるうえで、「1日にどのくらい進めればいいのか」という疑問は誰もが抱きます。一般的には、1日あたり2〜5題が無理のないペースとされています。特に平日は学校の授業や部活動で時間が限られるため、量よりも質を重視するのがポイントです。1題を丁寧に解き、理解できない部分をノートにまとめて復習するだけでも十分に力になります。休日や長期休暇中は、余裕があれば10題程度進めても構いません。ただし、「問題数をこなすこと」自体が目的にならないように注意しましょう。大切なのは、“解けるようになった”問題を増やすことです。
青チャートを一日で終わらせるための計画
「青チャートを1日で終わらせる」というのは、もちろん全ての問題を解くという意味ではなく、「内容全体を一度見渡して理解の流れをつかむ」という意味で使われることがあります。具体的には、1日かけて各単元の構成・難易度・出題傾向をざっと確認することです。これにより、どの分野が得意で、どの分野に時間をかけるべきかが明確になります。
また、短期間で全体を把握したい場合には、「例題だけを1題5分ペースで読む」という方法もあります。これは“解く”のではなく、“考え方をインプットする”作業です。青チャートの全体像をつかんでおくと、その後の勉強計画が格段に立てやすくなり、復習サイクルも明確になります。
一周あたりの時間目安と計画
青チャートを「一周する」には、どれくらいの時間がかかるのでしょうか。数学ⅠA・ⅡB・ⅢCそれぞれで問題数はおおよそ1000題あります。すべてを解こうとすると、1題あたり10〜15分としても、1冊で170〜250時間ほどが必要です。つまり、1日1時間で進める場合は6〜9か月、1日2時間なら3〜5か月が目安です。3冊となると、単純計算でこの3倍必要となります。
計画を立てる際は、基本例題・重要例題を中心に取り組み、難易度の高い発展例題は後回しにするのが現実的です。最初の一周目は“理解重視”で進め、二周目以降に“スピードと定着”を意識して繰り返すと、段階的に実力がついていきます。特に苦手単元にはマークをつけて、復習時に重点的に取り組むと効果的です。
何日で青チャートを完全に終わらせる?
「青チャートを何日で終わらせるか」は、学習目的と時間の使い方によって変わります。たとえば、共通テスト対策として基礎を固めたい場合は、3〜6か月程度が理想的です。毎日少しずつ続けることで、無理なく全範囲をカバーできます。一方、国公立二次試験や難関私大を目指す場合は、難度の高い問題も解けるようにすることが推奨されるため、1年計画で進めるのが現実的です。
ただし、終わらせることが目的ではなく、「問題を見た瞬間に解法が浮かぶ」状態に持っていくことが最終目標です。期間を短縮しようとして急いで解くよりも、理解→復習→再挑戦というサイクルを丁寧に回す方が、結果的に早く実力が定着します。焦らず、自分のペースで着実に前進することが、青チャート学習の最も効率的な道です。
苦手な問題へのアプローチ
青チャートを使った苦手科目克服法
青チャートは、「苦手克服」に非常に適した教材です。なぜなら、問題が段階的に構成されているため、基礎から応用までスムーズに理解を積み上げることができるからです。
まず意識すべきは、「できない問題を放置しない」こと。わからない問題に出会ったときは、すぐに解答を見て「なぜそうなるのか」を丁寧に読み解きましょう。青チャートの解説は公式の導出や考え方の流れが詳しく書かれているため、ただ答えを覚えるのではなく、“思考のプロセス”を理解する練習になります。
また、苦手分野は「1題完璧主義」で取り組むのが効果的です。つまり、1つの問題を完全に理解し、自分の言葉で説明できるまで繰り返す。1題に30分かけても構いません。むしろ、その一題を自分のものにすることで、関連する複数の問題に応用が利くようになります。
さらに、理解が浅いと感じた単元には、「復習ノート」を作るのもおすすめです。青チャートの例題番号と要点だけを簡潔に書き写し、自分なりの気づきやミスの原因もメモしておくと、後で見返したときに理解が定着します。
問題集との併用で得られるシナジー
青チャートだけでも十分な学習効果がありますが、他の問題集と併用すると理解がさらに深まります。たとえば、青チャートで基礎力を固めたあとに「一対一対応の演習」などの演習書に進むと、応用力が格段にアップします。
重要なのは、「順番」と「役割の違い」を明確にすることです。青チャートは“基礎の定着と思考の整理”を目的に、他の問題集は“応用・演習・試験対策”を目的に使います。つまり、青チャートで「わかる」状態をつくり、他教材で「使える」状態にするという流れです。
また、苦手単元の補強には、教科書準拠型の問題集(たとえば4STEP)を併用するのもおすすめです。青チャートのように網羅的な問題集では見落としがちな「基本の穴」を埋めることができます。複数の教材を使うときは、内容が重ならないように目的をはっきり分け、学習時間をバランスよく配分することが大切です。
自習における青チャートの位置づけ
青チャートは、自習用教材として非常に優秀です。授業で扱った内容を自分の力で整理したり、模試やテストで出た苦手分野を徹底的に復習したりする際に、頼れる「道しるべ」として機能します。特に、学習塾や予備校に通っていない場合でも、青チャートがあれば体系的に数学を理解することが可能です。
効果的に使うためのポイントは、「予習・復習・演習」を一冊で完結させる意識を持つことです。予習段階では「例題の考え方」を理解することに集中し、授業後や復習時に「練習やEXERCISES」で理解を確認します。そして、数日後や週末に「再チャレンジ」を行うことで、記憶が定着します。
また、青チャートは単なる問題集ではなく、“考える習慣を育てる教材”でもあります。自分で式を組み立てる過程や、解法を比較してベストな手順を選ぶ練習を通じて、数学的思考力が鍛えられていきます。
苦手分野を克服し、自学自習の柱を立てたいなら、青チャートほど頼もしい教材はありません。毎日少しずつでも取り組むことで、「解ける楽しさ」と「理解する喜び」が積み重なり、やがて数学が得意科目へと変わっていくでしょう。
青チャートを反復する意味と方法
反復学習がもたらす理解の定着
青チャートを使いこなす最大の鍵は「反復」です。多くの生徒が「一度解いたからもう大丈夫」と思いがちですが、実際は一度解けた問題でも数日経つと解法を忘れてしまうことがよくあります。これは人間の記憶の性質によるもので、忘却曲線の法則に従えば、1日後には約70%の内容を忘れてしまうとも言われています。
したがって、理解した内容を長期的に定着させるためには、一定の間隔で繰り返し復習することが欠かせません。青チャートのように体系的な参考書は、反復学習との相性が抜群です。最初の1周目は「内容理解」、2周目は「定着確認」、3周目以降は「スピード強化」と目的を変えることで、効率的に力を伸ばすことができます。
たとえば、1周目では「例題と練習」を丁寧に理解し、わからない部分をノートにまとめておきます。2周目では、ノートを見返しながら「本当に自力で解けるか」を確認します。この段階でまだ迷う問題は、自分の理解が不十分な証拠。そこを重点的に復習することで、弱点をピンポイントで克服できます。
3周目に入ったら、時間を計って解く練習を取り入れましょう。入試では限られた時間の中で解く力が問われるため、「正確さ+速さ」を意識することが重要です。こうした段階的な反復によって、ただ知識を覚えるだけでなく、“考える力を瞬発的に発揮できる力”が身につきます。
効果的な復習方法とペース配分
効果的な復習には「タイミング」と「方法」の工夫が必要です。おすすめの復習スケジュールは、「当日・翌日・3日後・1週間後」の4段階です。これは「間隔反復法」と呼ばれる方法で、脳が忘れかけたタイミングで再度刺激を与えることで、記憶がより強固に残ります。
たとえば、月曜日に解いた範囲を火曜日にもう一度軽く解き直し、金曜日に苦手だった問題を重点的に復習、翌週の月曜日にもう一度テスト形式で確認する、という流れです。このようにスパンを空けながら復習すると、効率よく記憶を定着させられます。
また、復習の質を高めるためには「ただ答えを見直すだけで終わらせない」ことが大切です。間違えた問題は、「なぜ間違えたのか」「どこで迷ったのか」を分析し、ノートに記録しておきましょう。その原因が理解不足なのか、計算ミスなのか、解法の選択ミスなのかを明確にすることで、改善することが容易になり、その結果、次回同じミスを防ぐことができます。
さらに、ペース配分にも工夫が必要です。1日に長時間同じ単元を繰り返すよりも、短時間で複数単元を少しずつ復習する方が効果的です。たとえば1時間勉強するなら、「30分は新しい問題、20分は前回の復習、10分は苦手問題の再挑戦」と区切ると、飽きにくく集中力も続きます。
加えて、週末を「復習専用日」として活用するのもおすすめです。1週間で解いた範囲を一気に見直すことで、全体のつながりが見えやすくなり、知識が整理されます。
青チャートの反復学習は、単に「繰り返す」ことが目的ではなく、「理解を深め、使える知識に変える」ことが本質です。焦らず着実に復習を重ねることで、数学の知識が“頭にあるだけの情報”から“自在に使いこなせる武器”へと変わっていきます。
受験対策としての青チャート活用法
合格に向けた実践的な勉強法
青チャートは、受験数学の基礎を徹底的に固めることができる王道教材です。難関大受験生の多くが青チャートを使っているのは、単に「量が多いから」ではなく、入試に必要な考え方の土台がすべて詰まっているからです。ここでは、青チャートを「合格に直結する勉強法」として活用する具体的なステップを紹介します。
まず大切なのは、青チャートを「解法暗記のための問題集」ではなく、“考え方を鍛えるトレーニングブック”として扱うことです。入試問題の多くは、青チャートに載っている例題の「発展形」になっています。つまり、青チャートの考え方を自在に応用できるようになれば、初見の入試問題でも対応可能になります。
そのため、1周目は「理解中心」で取り組みましょう。例題の解答を見ながら、「なぜこの式変形をしたのか」「なぜこのアプローチを選んだのか」を意識的に追うことが大切です。時間がかかっても構いません。“なぜそうなるのか”を説明できるようにすることが、実戦力の第一歩です。
2周目以降は、解法を見ずに自力で解く練習に移行します。時間を測りながら演習することで、試験本番を意識したスピード感を養えます。この段階では、間違えた問題を「解答を見たら理解できたが解けなかった問題」として残し、次の復習対象としてリスト化するのが効果的です。何度も解いて“自分の中で完璧に再現できる状態”を目指しましょう。
さらに、青チャートの「EXERCISES」は模試や入試レベルに近い内容が多く、受験直前期の総復習に最適です。1~2カ月前になったら、「EXERCISES」を一気に解き直す「総まとめ期間」を設けましょう。このとき、わからなかった問題を解答で確認して終わりにするのではなく、「どの部分で思考が止まったのか」「どの知識を使うべきだったのか」を分析することで、入試本番での思考の再現力が身につきます。
また、青チャートと過去問演習を組み合わせるのも非常に有効です。過去問で出題された問題が青チャートのどの例題に該当するかを対応づけることで、「解法活用の確認と拡張」ができます。もし上手く活用できない解法があれば、再度青チャートに戻りましょう。このように、青チャートと過去問を併用することで、出題傾向を把握しながら弱点を見つけ出し、その補強をすることが可能になります。
さらに、共通テスト対策と二次試験対策では、青チャートの使い方を変えることが重要です。共通テストではスピードと正確さが求められるため、「基本例題、重要例題レベルを素早く処理する練習」に重点を置きます。一方、国公立二次や難関私大では、「複数の考え方を比較し、最短ルートを導き出す力」が必要となるため、発展例題やEXERCISESをじっくり考える学習が効果的です。
最後に、青チャートの学習を“孤立した勉強”にしないこともポイントです。模試や授業で扱った問題と照らし合わせて、「青チャートのどこに該当するか」を常に意識することで、教材の知識が実際の入試問題と自然につながっていきます。
青チャートは、正しく使えば「受験数学の設計図」です。焦らず、何度も反復しながら、自分の理解を積み上げていくことが、最終的な合格への最短ルートになります。
青チャートの活用例と成功体験
東大、医学部受験生の実例
青チャートは、大学受験を目指す多くの高校生にとって“数学の基礎から応用までを一冊で完結できる”教材として知られています。特に東大や医学部といった最難関を目指す受験生の中には、「青チャートを何度も繰り返して使った」と語る人が少なくありません。たとえば、東京大学理科一類に合格した学生の多くは、青チャートを“辞書”のように扱い、わからない問題が出たら必ずチャートの例題に戻るという方法を取っています。これにより、どんな問題でも「チャートのどの例題を使えば解けるか」という思考が自然と身につくのです。
医学部志望者にも同様の傾向があります。国公立医学部に現役合格した生徒の中には、高2の終わりまでに青チャートを2周終わらせ、3周目では「間違えた問題だけを解き直す」という方法を取ったという例があります。この段階でただ解くだけでなく、なぜその解法を使うのか、他のアプローチは可能か、といった“思考の深掘り”を徹底していたのがポイントです。青チャートは解法の網羅性が高く、難関大学入試の出題傾向と重なる部分も多いため、受験直前まで活用できる「最強の基礎固め教材」と言えるでしょう。
ラ・サール生の青チャート活用法
名門・ラ・サール高校では、青チャートを日常的に使いこなす学習スタイルが定着しています。多くの生徒は、授業で扱う範囲をその日のうちに青チャートで復習し、翌日までに例題・練習を一通り解く習慣を持っています。こうした「予習+復習+演習」のサイクルを保つことで、学校の授業と青チャートの内容が完全にリンクし、知識が短期間で定着していくのです。
また、ラ・サールの上位層では「例題はすべて説明できるように」「解答を暗記ではなく構造で理解する」ことを意識して学習しています。つまり、青チャートを“問題集”としてではなく、“数学の思考訓練書”として使っているのです。さらに、夏休みや冬休みなどの長期休暇には、範囲を区切って青チャートを一気に復習する「チャート総復習期間」を設け、1~2週間で全範囲を一気に見直すという勉強法を実践している生徒もいます。
このように、青チャートは単に「問題を解くための教材」ではなく、「思考の軸を鍛えるツール」として使うことで、飛躍的な成果を上げることが可能になります。実際、青チャートを中心に据えた学習計画で、ラ・サールの生徒たちは毎年多くの東大・京大・医学部合格者を輩出しており、その効果は確かなものといえるでしょう。
青チャートのペース配分徹底ガイド!1日何題が理想?まとめ
青チャートの学習において、1日あたりの理想的な問題数には個人差があり、一概に何題と言えるものではありません。自分に最適なペースは、計算によって導き出すことができます。
まず自分の実力や勉強時間を客観的に把握し、入試日程や出題範囲に合わせて目標と期限を設定します。その上で、単元ごとの小目標(マイルストーン)を決め、スケジュールに落とし込みます。この段階で、現実的に可能なペースであることを確認します。そして、進めながら定期的に進捗を確認し、遅れや理解不足があれば柔軟に修正することが大切です。
一般的なものは、自分に最適なものではありません。本記事が、あなたが最適なペースを見つけるための一助となれれば幸いです。